水族館の水槽のガラスってべらぼうに高いらしい

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水族館にいったことのある人の多くが感じる恐怖があります。それは巨大な水槽越しに見る白クマやジンベイザメなどの巨躯とともに、その空間を隔てるたった一枚のガラスが果たして割れないのかというものです。

理科に詳しい人なら、水槽の水圧が全ての方向に等しくかかっていることは知っていると思います。そしてその圧力は水の重量に比例しているわけですから、いかに巨大な力が働いているか、想像に難くないことでしょう。
水族館のガラスは、完全防水であり透明度の高さが求められます。当初、それらの条件を満たすのは強化ガラスだけでした。しかし、強化ガラスは形状加工が難しく、巨大化するほど強度が損なわれてしまうため、巨大な水槽といっても自ずと限界があり、また形状の自由度にも決まってしまうという欠点がありました。

そこで登場したのが、現在水族館の巨大水槽のスタンダードとなった「アクリルガラス」だったのです。有名な沖縄美ら海水族館は、当時世界で最も巨大なアクリルガラスを使用した水槽であり、ギネスブックにも登録されました。従来の強化ガラスをやめて巨大なアクリルガラスの導入を可能にしたのは、日本アクリルガラスメーカーの高い技術力だったのです。
その後ドバイのショッピングモールに世界一のサイズをもつアクリルガラスを使用した水槽が導入されましたが、これもやはり同じ日本のアクリルガラスメーカーによるものだったのです。

私たちが一本の柱もないロケーションで巨大な魚を見ることができるのも、この日本のアクリルガラスメーカーのおかげというわけです。もちろん、従来から使われていた巨大な強化ガラスですら高額でしたが、それを上回る巨大なアクリルガラスは導入に多くの費用がかかるため、どこの水族館でも使用できるものではありません。しかしわたしたちが巨大な透明な壁を前に恐怖を感じることは、それだけ臨場感をもって水族館を楽しめているということなのです。